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井上博允先生日本学士院賞受賞

森特任教授の恩師,井上博允先生(東京大学名誉教授)の日本学士院賞授賞が平成28年3月14日の日本学士院第1097回総会において決定しました.

http://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2016/031401.html

研究題目 感覚と知能を持つロボットの基盤技術の開拓
氏名 井上博允(いのうえ ひろちか) 井上博允
現職
東京大学名誉教授、カワダロボティクス(株)取締役技師長
生年(年齢) 昭和17年(73歳)
専攻学科目 機械工学
出身地 鹿児島県鹿児島市
授賞理由
井上博允氏は、ロボット工学の黎明期より今日に至るまで半世紀にわたり、感覚と知能を持つロボットシステムに関する数々の先駆的研究を行い、この分野を開拓・先導してきた世界的パイオニアです。
最初の先駆的な業績は、1969年に実現した人工の手の計算機制御の研究です。人工の手、即ちロボットの手に巧みな作業を実行させるには、作業中に外部から受ける反力の感覚に基づく双動性が不可欠であることを指摘し、隙間の小さい丸穴への丸棒の挿入、クランク回し、手の作業の直接教示など、数々の有用な基本的機能を実現し、ロボットの作業能率を飛躍的に高めました。また、視覚情報によって手の位置を修正する視覚フィードバック、高速の画像相関演算により対象を実時間追跡できるトラッキングビジョン、人間がロボットの眼前で実演してみせる作業をロボットが理解してプログラムする知能の実現など、感覚と知能を持つロボットの基盤技術を幅広く開拓し、さらにそれらの技術を統合した人間型ロボットに関する国家プロジェクトを主導する等、今後のロボット革命において中核となる基盤技術の開拓を先導してきました。

【用語解説】
双動性
人工の手が計算機の指令に従って動くだけでなく、反力の感覚により外部からの拘束力に従っても動けること
画像相関演算
画像の類似度の指標として用いる各画素の濃度差の絶対値和
トラッキングビジョン
カメラで捕らえた目標を高速に追跡できる画像処理装置